9年目を迎えた食愛♡Kitchenへの思い
9年目を迎える 「食愛♡Kitchen~くうらぶ♡きっちん~」への思い
いのちを支える「食」と「性と生」。どちらも学ぶことで自分の生活を豊かにすることができます。その在り方は、その人の生き方の表現でもあり、哲学でもあると考えます。「食愛♡Kitchen~くうらぶ♡きっちん」の活動の基にいつもこのことをおいています。
講師依頼を受けて実施した講座や料理教室は、ありがたいことに活動開始からの8年間で500回を超えました。
2024年度は84講座実施して、延べ約5,000人の方に受講していただきました。
小学生 22講座(内6講座は大人も一緒)、 中学生 35講座、 大学生 1講座、
教員研修 7講座、 大人向け・保護者向け 9講座、 児童養護施設関係 10講座
どの講座も、「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に基づいた人権を基盤とした「包括的包括教育」として実施しました。
○ 「包括的性教育」とは?
この数年間は、学校を核とした「地域ぐるみで取り組む包括的性教育」を大きな取組の柱としています。
「『性教育』というと、保健体育で習うこと?」と狭義に考えてしまうかもしれませんが、性の学びはもっと幅広いもので、自分らしく幸せに生きていくために誰もが必要な学びです。小中学校での義務教育9年の間で子どもたちは幼児期から思春期へと、その成長は著しいです。思春期には、生殖機能が成熟するという大きな成長・変化が自分のからだで起こります。そんな成長・変化がある大切な時期の子どもたちには、自分のからだのことを正確に学び、性を人権として学び、大切なこととして考えられるようになる、そんな「性と生の学び」=「包括的性教育」は不可欠です。
性の学びは幼児期からの積み重ねが大切だと考えていますが、子どもたちや社会の現状から待ったなしで必要性を感じ、2017年に小学校教諭を退職してまず取り組んだのが中学生への思春期教室です。心身の成長とともに性への関心や興味も高まり、大人のからだへと成長していく思春期の子どもたちに、『自分自身の人生を幸せに生きていく力をもつことができる性の学び』をどのようにして届けたらいいのか。外部講師が関わりながら、先生方も一緒も取組めるカリキュラムはできないか。多忙を極める学校現場でも取組めるカリキュラムはできないか。現場の先生方とも一緒に試行錯誤しながら実践しました。そしてたどり着いたのが、教科としてどの学校でも指導している中学校1年と3年の保健体育での性に関する指導の学びを核として、外部講師の講話と学級担任の学級活動を各学年2時間ずつ3年間継続し、系統的に学ぶカリキュラムです。改善を図ってはまた実践しながら、今に至っています。
年間2時間の学びが他の教育活動にも生かされ、性のことだけでなく子どもたちの自立や成長につながり、総合的に人を育てることができる学び。それが「包括的性教育」としての性の学びです。 思春期教室は各学年で年間たった2時間ですが、その学びを毎日の教育活動や児童・生徒とのかかわりの中で生かしていくことで「幸せに生きていく力を育む「性と生の学び」=「包括的性教育」となります。
○ 大人も学びましょう
大人も性について学ぶ機会が少ないなのは同じです。性について語る言葉をもたない、性を恥ずかしいこととタブー視する、子どもたちに伝えたいけどどのように伝えていいか分からない…。性の学びが必要なのはむしろ大人の方かもしれません。「包括的性教育」を大人も学んでいきませんか?
大人がまず学ぼうと、自主的な学びの講座「包括的性教育に取り組もう」を2024年2月から同じ思いをもつ方と一緒に継続開催しています。この講座は既に4回開催して延べ122名の方が参加しました。どんなことを学びたいか自分たちで考えながら、お互いが学び合える実践的な講座です。興味のある方、一緒に学びたい方は、どうぞご連絡ください。外部講師として学校などに出向いて子どもと一緒に性を学び考える機会を作りたい、現職の教師として目の前の子どもたちと一緒に実践したい、学校だけでなく家庭でも、自分の職場でも、いろいろなところで性の学びを実践したい。学びはどこでも生かすことができます。自分のことを大切に思い、自分の人生を豊かに幸せになるようにと、毎日の生活の中で生かせるのが「包括的性教育」ですから。
「包括的性教育」の学びの取組みが地域の中で広がっていくことが、つながり合って誰もが安心して暮らせる地域づくりにもつながると思ってます。思いを同じくする方たちが一緒に活動してくださることで、8年間の取組みもみなさんに力をいただきながら続けることができています。これからも、いろいろな方々とも協力しながら県内の各地で「地域ぐるみで取り組む包括的性教育」の取組みが広がっていくことを願いながら今年度も活動していきたいと思います。
主宰 菊池 準子
【2025年度の活動計画】
◎ 出前講座…出向くことができる回数には限りがありますので、早めの連絡をお願いします。
【包括的性教育の出前講座】 実際に子どもたちとの学びとして、大人の学びとして
○ 子どもたちへの出前授業(幼児から、小・中・高・大学生まで)
※ 中学校の思春期教室については詳細を別に載せています
○ 放課後ディ、児童養護施設など学校外での子どもの学び
○ 幼稚園・保育所・学校・職場の職員研修
○ 学校保健委員会、PTA学習会 など
ご要望に応じた講座が可能です。
【性教育の学び作りへの協力】 教員研修や職場研修として
○ 授業つくり・思春期教室などの講座つくり
○ 教材開発
○ カリキュラム開発 など
◎ 性協教えひめサークルや諸団体と連携し、大人が「包括的性教育」について学ぶ機会を提供する
えひめサークルの学習会
連続講座「包括的性教育に取り組もうパート○」 など
◎ 包括的性教育実践の助けとなる資料・書籍の作成
明石書店「講座『包括的性教育』」に執筆者や編集委員として関わる。(5巻本 この夏より順次出版)
「包括的性教育」に取り組むための手引書となる資料の作成
菊池作成の 絵本「せいきってなあに?」絵本「うまれてきたよ」の普及
引き続き 《 松山堂書店 ℡ 089-941-7792 》で取り扱い中
性器の大切さの語り方、いのちの誕生の語り方、読み聞かせにも自己研修としても活用できます
【中学校での思春期教室】
○ 8年間(2017~2024)の実施状況
松山市、東温市、宇和島市、松野町、西予市、伊予市の中学校28校で130講座実施
○ 思春期教室の概要
性被害の防止、性感染症や予期しない妊娠を避けるための教育、処置教育といった狭義の性教育ではなく、自分らしく幸せに生きるための力を育む「性と生」の学び「包括的性教育」こそが、これから大人に成長していく思春期の子どもたちに必要な性の学びです。そのためには、外部講師の話を聞くだけでなく、学校で子どもの一番身近にいる学級担任とクラスの仲間とともに性について学び考える時間も必要です。どのような形が、忙しい現場でも実践できるのかと模索してきました。
そこでたどり着いたのが、性に関する専門的な部分や、教員が直接子どもたちに語りにくい部分は外部講師が講話の中で受け持ち、幅広く性に関する課題について話し合う活動は学級活動として学級担任が受け持つという2時間セットの思春期教室です。外部講師として、医師、助産師、保健師などが関わっています。年々改善を加えながら、より取組みやすい、そして学びが深まるものにと実践・研究を続けてきました。子どもたちにも大人にも「包括的性教育」として性を学ぶ機会として有効であるという手ごたえを感じています。
2019年度頃からこの形での思春期教室を実践する学校がでてきました。宇和島市では、市内の全市立中学校でこの取組みを「宇和島こころまじわうプロジェクト」として2020年度から始め、小学校にも広がっています。松山市では、2024年度から「松山市中学生思春期教室」として実践できる学校から取り組み始め、松山市内にも広がろうとしています。同様な実践が他の地域でも広がりを見せています。地域の助産師等が中心になって、保護者が中心となって、養護教諭が中心となって…いろいろな始まり方でこの取組みを広げようと動き始めています。これからもいろいろな方と協力して実践を続けながら、思春期教室の取組が、地域ぐるみのものになるように育てていきたいと思っています。
○ 実際の流れ
1 学校での思春期教室の実施計画の立案
まずは、校内で思春期教室の実施の必要性を確認し、大まかな実施時期や学年や実施方法を決めます
2 講師依頼…連絡先にお願いします。
菊池が行けない場合も、産婦人科医、保健師、助産師など、他の外部講師との連携も可能です
※ 松山市内の学校からの依頼は、松山市教育員会保健体育課に連絡を
3 実施まで
(1) 日程の確定(2時間続きの時間が必要です)、校内で実施計画案の検討
外部講師の講話や学級活動の内容や、進め方などについて情報共有(打ち合わせに向けて)
(2) 事前アンケートの実施
子どもたちが自分のこととして学べるように、事前アンケートを実施します
(3) 思春期教室に向けての打合せ・準備(対面、電話、Zoomなどで)
外部講師の講話…アンケート結果や子どもの実態などから、内容を検討します
学級活動…基本的な指導案や板書例、ワークシートなどはあります
4 思春期教室の実施
5 事後の振り返り
子どもと教員の事後アンケートを実施し、成果と課題を話し合い次回に生かします